2/11/2011

OSシリーズ#3


SAYTONEはまだまだ発展途上のピックアップではあります。
しかし、有名ブランドのピックアップは勿論、海外個人制作家のピックアップと比べても全く引けを取らないチューニングに仕上がっています。
しかも、ハンドワインディング・ピックアップならではのトーンの奥行き感やエイジングによる音の変化を持っています。

たとえヴィンテージのレシピを元に製作されたピックアップでも、機械巻きではこの音色は得られません。
これからの進化が期待できる素晴らしいピックアップになりました。

勿論、このサイトーンP.Uも決して手頃な値段ではありません。
一般的なリプレイスメント・ピックアップと比べれば、随分と高額なピックアップです。
しかし、その音色に対する金額としては、申し分無い価格に仕上がっています。


OSシリーズのパーツは国産のゴトーガットの製品をチョイスしています。
それはメイドインジャパンへのこだわり、というだけではありません。
世界中で「最高の品質」と認められるパーツをチョイスするとゴトーガットの製品になります。

海外有名ギタービルダーも、その品質には一目を置き、別注も多く手がけるブランドです。
さらに、国内で入手できるという点に置いても、USやドイツ製のパーツよりも価格は抑えられます。
つまり、我々がチョイスした理由は非常にシンプルです。

「安くて良い品」である。

他に理由が必要でしょうか?



最後に、生産工場です。
我々クルーズ社の多くの製品を代表吉岡と共に作り上げてきた工場の一つが長野県松本市にある飛鳥工場です。
30代前半の工場長兼社長の八塚悟氏の元で、若きスタッフが日々、世界に誇れる楽器制作に取り組んでいます。

皆さんは工場生産品とビルダーメイドの楽器の違いをどうお考えでしょうか?
何となく「個人ビルダー物はライン生産品よりも良い」と考えている皆さんもいらっしゃるかもしれません。

確かに、流れ作業で製作される楽器には、その最終的な音のイメージや弾き心地への欲求が込められていない楽器も存在するかもしれません。そして、ビルダー物の楽器の価格はとても高額です。

ビルダー物とは1人、もしくは少数の人間が、最終的な楽器の音色や弾き心地をイメージしながら作業を進める訳です。しかも、一日に1本楽器が仕上がる訳でもありません。1本のギターを製作するのに、ひと月掛かる事もあります。人件費を計算してもギターが高額になるのは当然の事です。


ライン生産品とは複数の人間が各セクションに立ち、与えられた仕事をこなしてゆきます。
ボディー研磨のスタッフは研磨のみを行います。
ネック成形担当はネックの成形のみを行います。
塗装は勿論、塗装担当者が行います。

捉え方としては、個人ビルダー物は全ての行程を、制作者本人が責任もって行う事で、理想的な楽器に仕上がる、と言えるでしょう。
ではライン生産品はそうでないか?と言われれば、そんな事はない、と思います。

何故なら、ライン作業での担当者は1日中、その研磨の行程やネック成形の行程を行う訳です。
それも1日だけではありません。毎日、毎月、毎年です。そんな彼らが、その部所のプロフェッショナルになって行くのは自然に理解できるはずです。勿論、手順が良くなっていくだけではありません。
「こうしたら、どうなる」という事を理解してゆきます。どんな個人制作家も、はじめからプロフェッショナルであった訳ではありません。

後はその生産ラインを監修し、仕上りのイメージにフォーカスを当てた楽器制作を行う事が重要になります。

続く